2017/01/19
厚生労働省は11日、家庭に支障が出ないようにする正社員の転勤のあり方を考える研究会を開いた。3月末までに対策をまとめる。厚労省は企業の労務管理などに生かしてもらう考えだが、法的な強制力はない。
最近では勤務地を限定して正社員を募集する企業も増えているが、いまだに転勤の可能性がある場合が多い。研究会の対策には転勤の際に、育児や介護といった家庭環境に配慮するよう企業に求めるねらいがある。
独立行政法人の労働政策研究・研修機構によると、従業員300人以上の企業のうち、約80%は会社主導で転勤を決めているという。(日本経済新聞 1月12日)
民間企業でも公的機関でも転勤の辞令を拒否すれば昇進にマイナスだが、生活設計を優先して転勤を拒否するケースが増えてゆくだろう。経験者に聞くと「多少の転勤手当が付いても、二重生活になるので毎月の経済的な負担が増える」という。住宅ローンを返済している最中の転勤なら、なおさら負担は大きいのではないか。まして収入が増えないなかで、物価目標2%上昇を達成させる政策は、多くの転勤族には逆風だ。
転勤が介護と子育ての阻害要因としてクローズアップされれば、長時間労働の次は転勤が働き方改革の焦点のひとつになるだろう。その意味で、厚生労働省が研究会を開いて示す対策には期待したが、はたして、どれだけの影響力があるだろうか。
たぶん、転勤拒否に対する降格人事や解雇などの事案が大手企業で発生し、それが法廷闘争に発展して、メディアが大挙して報道するような状況に至らないと、厚労省研究会の提言は用をなさなくなってしまう。
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