2016/12/15
雇用保険制度の見直し内容が8日、決まった。
うち失業手当の給付日数は、倒産・解雇で離職した人の一部や有期契約が更新されない
雇い止めで離職した人を対象に拡充する。労働者側が強く求めた自己都合で離職した人の給付拡充は、使用者側がモラルハザード(倫理の欠如)を助長すると反対し、今回も見送られた。厚生労働省は法改正を経て2017年度に実施する。倒産・解雇で離職した30~34歳(被保険者期間1年以上5年未満)と35~44歳(同)の給付日数は、受給期間中の就職率が低いため30~60日増やし、120~150日にする。雇い止め離職者の給付日数を倒産・解雇の離職者と同じ90~330日に拡充する暫定措置は21年度まで5年間延長する。
(時事通信 12月8日)
自己都合で退職した人の給付拡充を見送る措置は、趣旨としては筋が通っているが、盲点も否定できない。会社都合によって退職者が発生することをマイナスポイントと考えている経営者は、解雇の候補者を自己都合で退職するように仕向ける風潮がある。
たとえば「過去5年間、会社都合で辞めた社員はひとりもいません」と胸を張る経営者。社員を大切にしていると主張したいのだが、そうとは限らないケースも散見される。辞めさせたい社員に辞表の提出を迫るとか、辞めたくなるように窓際に追いやるとか、達成不可能なノルマを与えるとか、あの手この手で本人を追い詰めてゆく。
あるいは逆のパターンもある。「会社都合なら失業給付金をすぐに受給できるから辞めてほしい」と失業給付金制度を使い勝手のよいリストラのツールに考えている経営者だ。どっちもどっちだが、雇用を真っ当に考えない会社は、風評が広がって採用に苦労を強いられるようなる。
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