2016/11/28
在留資格に「介護」が追加されたり、外国人技能実習制度で受け入れ先企業などの監督強化を図る関連2法案が18日、成立した。施行に合わせ技能実習にも「介護」が加わることで、人材不足の介護分野に外国人の労働力が広がることになる。ただ、現場からは外国人とのコミュニケーションに不安もつきまとう。
「仕事やお金に対する感覚が日本人とは違う。受け入れるには心構えが必要だ」。東京都港区の高齢者施設「ありすの杜きのこ南麻布」の職員は、こう指摘する。同施設ではこれまで、留学生や日本人と結婚したフィリピン人など外国人を多く雇ってきた。利用者は認知症の高齢者が中心で、ケアにはコミュニケーション能力が求められる。利用者の命にかかわるだけに日本人スタッフの指示内容の理解力が必要。食べ物を口に入れたまま歩かない、ゴミは分別するといった生活習慣も根気よく教えなければならない。
(産経新聞 11月19日)
外国人の介護人材の受け入れがいちだんと進めば人材不足がカバーされるかに見えるが、そう単純ではない。厚生労働省が都道府県推計に基づく介護人材の需給ギャップを算出したところ、2025年に37・7万人(需要約253万人、供給約215万人)にもおよぶという。
EPA(経済連携協定)が外国人技能実習制度で到底補えるような数字ではない。しかも、外国人が大量に雇用される職場が、日本の若者にとって魅力が低下し、介護はいまにも増して不人気業界に追いやられ、ますます人手不足が悪化しないとも限らない。
さらに、外国人人材は、介護業界以上に人手不足が深刻化している建設業界との奪い合いに入るという構図も、視野に入れる必要がある。
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