2016/11/23
全国の労働局長が集まる会議が14日、厚生労働省内で開かれ、岡崎淳一厚生労働審議官は電通の長時間労働問題などを挙げ、「各事業場に対して是正勧告をしてきたが、企業そのものが変わっていなかったということは、我々が反省すべき課題だ」と述べた。
昨年12月に女性新入社員(当時24歳)が過労自殺した電通では、2010年に中部支社(名古屋市)、14年に関西支社(大阪市)、15年に東京本社(東京・港)がそれぞれ地元の労働基準監督署から是正勧告を受けている。岡崎審議官は「こういう事案をみるにつれ、企業の状況を把握した指導が必要だ」と強調した。
(日本経済新聞 11月14日)
この発言は、是正勧告には効力がないことを認めたようなものだ。「勧告」では企業が素直に従うとは限らない。勧告を受けたことが公表されると、売り上げ、採用、銀行融資などに支障が発生するのなら即座に是正するだろうが、そうでない限り、人事担当者が是正を提言しても看過される企業は多いのではないか。
提言を頭から否定する経営幹部はいないだろうが、取材してみると、労働基準法に従っていたら競争力が低下すると考えている経営者は、けっして少なくない。たとえいまの事業がブルーオーシャンで展開されていても、いつレッドオーシャンに転ずるかわからない。
その危機感も労働強化の一因だが、社員の心身が健全であってこそ、競争力は持続する。厚労省には次の施策を早急に講じてほしい。
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