2016/11/16
過労自殺問題に揺れる広告大手、電通の東京・汐留の本社と3支社に7日午前、厚生労働省が労働基準法違反の疑いで一斉に強制捜査に入った。全国で90人近くを動員する異例の大捜査となった。
関西支社(大阪市)や中部支社(名古屋市)、京都支社(京都市)にも、同時刻に各地の労働局職員らが強制捜査に入った。東京、大阪の各労働局に加え、各地の労働基準監督署から職員を動員。先月の立ち入り調査は約30人態勢だったが、今回は計88人と異例の大規模な捜査態勢を組んだ。強制捜査は長時間に及ぶ見込みで、刑事事件としての立件を視野に全容解明を進める方針だ。
(朝日新聞 11月7日)
電通は、強制捜査が入らなければ第三者委員会を発足させて、責任の所在と改善策を提言してもらって一件落着を図りたかったのだろうが、そうはいかなくなった。労働基準監督署が牙を剥いたのだ。
多くの企業が労基署による是正勧告を舐めていたことは否めない。業務停止命令のような強制力をともなわない限り、なかなか襟を正さないのが企業の本性である。
労基署にも問題があった。人員不足だけでなく担当官によって意欲に差があり、相談者にとっては誰が担当になるかで問題が解決されるか、ウヤムヤに終わるか、命運が分かれていたのだ。
労基署によっては、所轄の地区で紛争事案を発生させないことが管理監督力の評価基準と見なして、法令違反事案にも腰を上げようとしない例もあった。警察官が交通違反の検挙数ノルマを与えられている(らしい)ように、あえて摘発数のノルマを与えなくとも、次々に労基法違反を摘発できるはずだ。
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