2016/11/14
政府は、長時間労働の是正を目指し、労働基準監督署の専門職員である労働基準監督官を増員する方針を固めた。
電通の新入社員の過労自殺問題を受け、従業員に長時間労働をさせている企業の監督や取り締まりを強化する必要があると判断したためだ。残業時間を減らすための制度整備と並行して、現場の体制を拡充することで、働き方改革の実効性を高める狙いがある。労働基準監督官は現在、全国321の労基署に3241人が配置されている。労働者1万人当たりの監督官の数は0・53人で、ドイツ(1・89人)、英国(0・93人)など欧州の先進国と比べて見劣りする。取り締まりを強化しようにも、「マンパワーが足りずに対応が追いついていない」(政府関係者)というのが現状だ。
(読売新聞 11月5日)
労務管理に関して企業の自浄作用に期待することは、あまり現実的でない。本当は長時間労働をさせたい。それがホンネである経営者が多いのだ。
みずからの創業体験から(成果は労働時間に比例する)と思い込んでいる経営者とって、寝食を忘れて働くことは正義で、残業時間の削減によるワークライフバランスの確立は後退である。改心させるには、労働基準監督署の是正勧告では弱い。
労基署の増員を図るだけでなく、権限も強化して、管内の企業が萎縮するぐらいの指導力を発揮してほしい。
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