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田村・前厚労相「36協定、よくよく考えると非人道的

田村憲久・前厚生労働相は30日のNHK番組で、厚労省が大手広告会社の電通を「子育てサポート企業」に認定していたことについて「正しかったかどうか、私も反省する」と述べ、認定に問題があったとの認識を示した。
同社は2007、13、15年に認定を受けたが、14年6月と15年8月、違法な時間外労働があったとして支社や本社が是正勧告を受けた。13年当時、田村氏は厚労相だった。

また、事実上無制限の時間外労働を課すことができる労働基準法36条の「36(サブロク)協定」について、田村氏は「よくよく考えると非人道的だ」と語り、見直しの必要性を強調した。
(読売新聞 10月31日)

36協定の問題は、会社にもよるだろうが、労組が存在しないと多くの社員に通知されないことだ。さらに協定の締結では社員代表が署名捺印するが、人事部門と距離が近く、しかも会社のイエスマンが代表に指名されるケースが多い。

本来なら協定案について全社員から意見を募り、社員代表は社内公選で決められるべきだが、それでは会社側にとって一方的に都合のよい協定を結べなくなる。都合とは、長期間労働を担保できることである。野党的な社員が選出されたら、会社側が困るのだ。

働き方改革が議論されている折に、電通の過労死問題が表面化したが、企業の自浄作用には限界がある。予算措置を講じて労働基準監督署のマンパワーを増強し、権限も強化したほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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