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同僚への土下座強要は「パワハラ」 日本郵便に賠償命令

2011年に福岡県内の男性郵便局員=当時(41)=が突然死したのは当時の郵便局長のパワハラが原因として、遺族が日本郵便(東京)に1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、福岡高裁であった。白石哲裁判長は、局長が朝礼で別の局員を土下座させたことについて、「その場にいたすべての職員」へのパワハラに当たるとする判断を示した。

判決によると、男性局員はうつ病で休職中の11年12月に致死性不整脈で死亡。生前の同5月と10月、局長から「いつ辞めてもらってもいいくらいだ」「あんたが出てきたら皆に迷惑」などと言われた。

この2件について、白石裁判長は一審の福岡地裁小倉支部判決と同様にパワハラと認定。さらに、同6月に男性局員を含む複数の局員が参加した朝礼で、局長が別の局員を土下座させた行為も「その場にいたすべての職員に対する安全配慮義務に違反する」としてパワハラと認定した。
(西日本新聞朝 10月26日)

土下座は論外だが、大勢の部下の前で個人を叱る行為もパワハラとして断罪されるようになるだろう。かつては大勢の前で叱ることに、対象者以外にも自覚を促せるという理由で教育効果を見出す考えもあった。いまは発言内容にもよるが人格を冒涜する行為としてみなされる。
それでも、この行為が減らないのは、上司に堪え性がないのか、叱る行為に権威を求めているのか。オーナー社長には、来客の前で部下を叱りつける人物も少なくない。取材先でそんな場面をたくさん見てきたが、一種のパフォーマンスと考えているフシもうかがえ、あきれたものだった。(社外の人の前でおやめなさい。部下の尊厳を傷つけますよ)と。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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