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「年下の上司と仕事しづらい」60% エン・ジャパン調査

年下の上司と働いた経験がある人の約6割が、一緒に仕事を「しづらい」と感じていることが、就職情報サイトを運営する「エン・ジャパン」(東京)の調査で分かった。60歳以上の再雇用が一般化し、転職も増えるなか、年下上司と働く機会の多い職場はますます拡大するとみられる。円滑な人間関係を築くために必要な心構えとは-。
 
同社の転職サイトに登録する35歳から50代までの303人を対象にインターネットを通じて調査したところ、年下上司と働いたことがあるのは66%。このうち58%が「仕事しづらい」と回答した。
 
理由(複数回答)は「人の使い方が下手」(66%)「知識・知見が少ない」(45%)「人の意見を受け入れない」(43%)の順に多く、「経験が浅いのではと不安になった」「年下に命令されると良い気分がしない」との意見が目立った。
 
逆に「年下上司は仕事しやすい」と答えた人は42%。「謙虚な姿勢」(48%)「人の意見を柔軟に受け入れる」(41%)に好感を持った。年下上司と仕事をする際に気をつけることは「ため口ではなく敬語を使う」「呼び捨てにしない」「年齢を意識しすぎない」が多かった。「飲みに誘う」は9%にとどまった。
(西日本新聞 10月20日)

いまや上司に年上も年下もないだろうと思うが、この調査結果からは、やはり年下の上司には感情的なしこりをもってしまう傾向が変わっていない。かつて部下だった人物が昇進して自分の上司になるという逆転現象は、当人にはストレスかもしれない。「君」付けでタメ口の対象だった人物でも、上司になれば「さん」付けで敬語を使わなければならない。
 
プロ野球界では入団年次や実績に関係なく、年上の選手を「さん」付けで呼び、敬語で話すという慣わしがあるそうだ。企業でも「さん付け運動」が流行った時代があったが、上下関係の入れ替えに備えて、人間関係のあり方を見直す必要がある。

どう見直せばよいのか。部下と上司の関係が逆転することは、上下の入れ替えではなく、配役が変わっただけと割り切ればよい。退職すれば現職時代の役職は意味をなさなくなるし、ましてリタイア後は誰もが“普通の老人”になるだけだ。「元〇〇」という肩書きを生きる証にしたがる人も少なくないが…。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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