2016/09/20
残業時間の上限が事実上青天井になっている時間外労働規制の強化に向けた政府の議論が始まった。厚生労働省の検討会がまとめる論点を踏まえ、安倍政権が新たな目玉政策に据える「働き方改革」の一環として、上限規制の見直しが検討される見通しだ。
厚労省で9日開かれた有識者らによる検討会の初会合。会場には一般の傍聴者や報道陣らが詰めかけ、用意された傍聴席はほぼ埋まった。「働き過ぎ」による過労死や、男性の家事や育児への参加が進まないことが社会問題となるなか、長時間労働是正への関心の高さをうかがわせた。
いまの仕組みでは、労働基準法36条に基づいて、残業時間の上限は労使の合意による協定(36〈サブロク〉協定)で定めることができる。法定労働時間を超える残業には「1カ月45時間まで」という基準はあるが、行政指導の基準で法的な強制力はない。
(朝日新聞 9月10日)
36協定を結んでも特別条項を設けて、残業時間が青天井になっている企業に言い分は「うちの業界はつねに忙しいから」「残業時間を月45時間までに限定したら経営が成り立たなくなってしまう」。おおかた、そんなものだ。
一面の真実だが、これを容認し続けたら“長時間労働文化”はいつまで経っても是正されない。業界の常識、会社の常識――長時間労働の是正には、ここに切り込む必要があるのだが、業務体系や労務管理を改善するには、他業界の経験者に委ねることが望ましい。
どの業界にも共通しているが、とかく“業界人”は経験則に固執しがちで、他業界の知見を「うちの業界には通用しない」と頭から排除してしまう傾向が強い。切り替えを求めても「そうはいっても…」と思考を止めてしまうから、手に負えない。
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