2016/09/09
過重労働が原因でうつ病になったのに不当に解雇されたとして、東芝(東京都港区)社員の重光由美さん(50)が同社に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し後の控訴審判決が31日、東京高裁であった。奥田正昭裁判長は、差し戻し前の高裁判決が認めた賠償額を増額し、東芝に約6千万円の支払いを命じた。
判決によると、埼玉県深谷市の工場で働いていた重光さんは2001年にうつ病を発症して休職し、04年に解雇された。重光さんが訴えた解雇無効については、差し戻し前の11年の高裁判決で確定。ただ高裁判決は、重光さんが発症を同社に申告しなかったことなどを理由に、賠償額の2割を減額した。
賠償額をめぐる争いで、最高裁は14年にこの高裁判決を破棄し、改めて賠償額を判断するよう審理を差し戻していた。この日の判決は、重光さんの落ち度を理由とする減額を認めなかった。
(朝日新聞デジタル 8月31日)
この判決は一罰百戒を狙ったのだろう。うつ病に罹った社員を解雇することが容認されたら、働き方改革を大きく後退させてしまいかねない。しかも健康経営の趣旨からすれば、やむなく病気に罹った社員に対しては職場復帰できるように処遇すべきで、排除は論外である。
4~5年前のことだが、企業が人員削減を目的に、産業医に頼んで対象社員をうつ病に認定してもらう例があると耳にしたことがある。デマの類いだろうと聞き流したが、社員をうつ病に認定するテクニックをブログに書いた社会保険労務士が処分され、あながちデマとは限らないという印象をもたざるをえない。
がん患者の職場復帰についてもいえることだが、病気との共存が企業活動には問われてくる。
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