2016/08/18
地方から首都圏へ企業の転入が加速している。2015年に1都3県へ本社機能を移した企業数は過去最多で、16年もこの傾向が続く。地方の人口減で市場が縮小し、労働力の確保も難しくなっているためだ。政府は地方創生で本社の地方移転を推進するが、人口減が首都圏への流出を促し、地方経済をさらに疲弊させる「負の連鎖」に陥っている。東京一極集中に歯止めはかかっていない。
帝国データバンクがデータを持つ約146万社を調査した。登記上の本社だけでなく財務、管理部門など本社機能の移転も件数に加えた。
東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県への他の43道府県からの転入は14年比13%増の335件。集計可能な1981年以降で最多となった。転入元で最も多いのは大阪府(22%)で、茨城県(9%)、愛知県(8%)、福岡県(5%)が続く。
(日本経済新聞 8月8日)
商機の開拓と雇用の確保を考えれば、企業の首都圏転入は必然の流れだ。政府が地方分散を図ろうとしても、経済原則には抗えないという現実が現われている。1955年から1970年にかけて地方から三大都市圏に800万人が移動したが、この時代に出来上がった首都圏と地方との格差があらためて加速される勢いだ。
人口の分散を図る取り組みとして、元気高齢者の地方移住を促す日本版CCRC構想が模索され、政府が補助金制度を設けたことを契機に250近い自治体が関心を表明している。東京都豊島区も埼玉県秩父市が構想するCCRCに、区民を移住させるプランを描いているが、思惑通りに進むだろうか。
ある豊島区関係者は「どこに住むかは個人が判断することで、行政が誘導するのは筋が違うと思います。そんな策に税金を使うのではなく、子育てなど優先的に取り組まなければならない課題に税金を使うべきです」と指摘する。当然だ。
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