2016/08/01
妊娠や出産を理由に職場で不当な扱いや嫌がらせをする「マタニティーハラスメント(マタハラ)」について、厚生労働省は22日、企業が取るべき具体策などを盛り込んだ指針を固めた。加害者は懲戒処分の対象となることを就業規則に明記するよう求める。被害は後を絶たず、企業に厳格な対応を促す。
改正男女雇用均等法が先の通常国会で成立し、企業のマタハラ対策が義務化された。指針はその具体的な内容を定めた。改正法施行に合わせ、来年1月から指針の運用を始める。
指針はマタハラを行った社員に対し、厳正に対処すると就業規則などの文書で規定するよう要求。マタハラへの懲戒処分の規定を新たに定めるか、現行の懲戒規定の対象になると明確にすることを想定している。
(日本経済新聞 7月23日)
この記事によると、2015年度に全国の労働局に寄せられたマタハラの相談件数は、前年度比19%増の4269件で過去最高だった。厚生労働省が就業規則への懲戒明記を求めたのは当然の措置だが、企業の厳格な運用をどうチェックするのだろうか。
どんな問題に対しても「なかった」ことにしたがるのが、大方の人事部の組織心理だ。あるいは人事部が問題を認定しても、経営幹部候補など有力社員に限っては、経営者が特例措置としてお目こぼしをする企業も珍しくない。
加害行為の認定や懲戒措置に公平性が担保されなければ、就業規則は空文化する。マタハラの訴えを隠ぺいした企業への懲罰措置も必要ではないのか。この問題に性善説で臨んでも実効性は期待できない。
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