2016/07/30
イオンが今春、小売業では異例の店長にも在宅勤務を認める人事制度を導入した。舞台は東北地方に21店を展開するイオンスーパーセンター(SC、盛岡市)。人口減少で働き手の確保が難しくなるなか、仕事、育児、介護の「1人3役」をも求められている現代の勤労世代をどう支えるか。従業員の家庭生活も視野に働き方を見直す。
「人手は慢性的に15%は足りていない」。イオンSCで人事教育を担当した江浜政江氏は新制度導入の背景をこう話す。
(中略)新制度は店長や課長など店舗管理職に1カ月最大5日の在宅勤務を認める。対象は約300人。現在約30人が利用する。セキュリティー対策をした専用端末を通じ、始業と就業の際に上司に入れる連絡で勤怠を管理。1日の連続勤務時間は8時間までとし、給与などの減額はない。
(日本経済新聞 7月21日)
医療介護業界では2025年問題が議論されているが、この問題は高齢者を抱える家族にものしかかってくる。家族が勤務する企業も同様だ。企業にも2025年に向けた施策が求められるようになったのである。やがて「2025年対策室」を開設する企業も現われるだろう。
介護を理由にフルタイムで出勤できない社員は40代以上の中堅・幹部層に多くなるから、意思決定者がフルタイム出勤しなくとも、組織が廻る体制の組み立てが迫られている。この課題にIT企業は取り組みやすいが、店舗や工場など現場を持つ企業では難しいと見られてきた。
その意味で、イオンが店長の在宅勤務を推進することは先進的だ。遠からず他の小売企業にも波及するに違いない。
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