2016/07/27
政府はベテラン保育士を増やすため、私立の認可保育所への助成金を増額する。保育士の平均勤続年数などの条件を満たす保育所への国からの支援を年約300万~500万円上乗せし、定着率を高める。賃上げで離職を防ぎ人手不足を補う。
内閣府は7月中に制度の詳細を自治体に通知する。私立保育所で働く保育士は全体の約6割を占める。支援するのは国が定める必要な保育士数より多く雇い、職員の平均勤続年数が15年以上の私立保育所。厚生労働省は私立保育所の約10%が対象になるとみている。助成金はキャリアを積んだ保育士や、勤める保育士全体の賃金改善などに充てる。加算額は保育所の所在地や子どもの定員数に応じて月約27万円から45万円になる。
たとえば保育指数が22人で子どもの定員が100人の東京23区にある保育所の場合、月約45万円が保育所に支給される。全ての保育士の賃金を一律に上げれば月給が約2万円上がる計算になる。
(日本経済新聞 7月20日)
これは介護士にも共通する問題だが、せめて月給が5万円上がらないと賃上げされたという実感は持てないだろう。できれば10万円を上げて、全産業の平均値に並びたいだろうが、財源の制約がある現状では月2万円の賃上げでもやむをえない。
待機児童対策には保育士の確保に加え、保育園の増設も喫緊の課題だが、開設の規制緩和がどこまで進むのか。保育所の運営主体のなかで、株式会社の割合は1割にも満たないが、収益事業と安全確保の両立は難しいとの理由で、規制緩和が進んでいない。
介護業界では株式会社の参入に対して「福祉に市場原理を持ち込むことはケシカラン」と批判的な社会福祉法人関係者は少なくないが、保育所でも同様に既得権益確保の情念が渦巻いているのだろうか。安全確保は当然の施策である。“株式会社=ズサン”という議論から脱しない限り、待機児童問題は改善に向わない。
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