2016/07/26
飲食店を複数店舗経営するA社長に、ある店舗(居酒屋)の店長から連絡が入りました。「社長! すみません、今日店を開けることができません」
詳しく事情を聴くと、アルバイトが誰も出勤してこないと言います。前日にリーダー格のアルバイト店員から受け取った「要望書」に対処しなかったことへの報復行動だったのです。(中略)
主な内容は次のとおりです。(1)チラシ配りのための早出の強制をやめる。強制するのであれば時間給を支払う(注:同店ではチラシ配りに1回500円の手当を支払っています)。
(2)思いつくままに次々と指図する、指示の優先順位をころころと変えるのをやめてほしい。
(3)店の中で大声で怒鳴らない。
(4)学校の試験期間中は休ませてほしい。
(5)代わりの人を手当てしないと休めないシステムの変更。
(6)出勤時以外に仕事に関するメールを送るのをやめてほしい。(中略)
現場のプレーヤーとしては優秀ですが、会社と上司の方ばかりを見て、部下に自分と同
じ働き方を押し付けるために、部下からはパワハラと捉えられてしまうのです。
(毎日新聞 7月17日)
実名で報道されていないので、この出来事がブラックバイト問題に一石を投ずるには至らないだろうが、それにしてもアルバイト学生たちは思い切った行動に出たものだ。
ひと昔前なら店側が「嫌なら辞めろ。代わりになるバイトならいくらでも見つかるから」と居直れたケースだが、この店長は、指導・管理が一線を超えるとアルバイトとの力関係が逆転する時代になったことをわかっていなかったようだ。
居酒屋の運営会社にとっても想定外の事態で、アルバイト管理のあり方を改めざるをえなくなったのではないか。何も難しい作業ではなく、信頼関係を形成して、就労意欲が高まるようにすればよいだけのことだ。
しかし、これが意外に簡単ではない。アルバイトを“何時でも入替え可能な間に合わせ要員”と見なしている組織の場合、その体質は、簡単に改まるものではない。
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