2016/07/13
経団連は6日、平成28年春闘の妥結状況(118社回答)を発表した。大手企業での定期昇給と賃金水準全体を底上げするベースアップ(ベア)による月例賃金の引き上げは、額が7497円、率が2・27%となった。安倍晋三政権が企業に賃上げを要請する「官製春闘」3年目で、26年、27年に続き、額で7千円、率で2%を超えたが、上昇率は過去2年に比べ、鈍化している。
今回賃上げ率が伸び悩んだのは、中国経済の減速や円高の進行などで、景気先行き不透明感が増したことに加え、労組側もベア要求を減らしたことが要因と、経団連では分析している。
業種別では、賃上げ率が最も高いのが建設。会社や業界団体の要請で詳細は明らかにしていないが、3%を上回り、額でも1万円を超えているもようだ。東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設特需で業績が大きく改善していることに加え、建設業界での人手不足から初任給の引き上げなどで他業界を上回った。これに、造船が2・38%、自動車が2・37%で続いた。
(産経新聞 7月6日)
来春の賃上げは、英国のEU離脱による混乱が長引けば楽観視できない。延期された消費増税をめぐる景気後退論が強まって、賃上げを手控える企業が増えるだろう。大手企業の賃上げ一服は、中小企業にとっては安堵の材料だ。
大手の賃上げに引きずられるように賃上げを挙行した中小企業には、人件費倒産リスクが発生しかねない。人手不足は解消する見通しにないが、賃上げ以外の手段で採用活動をできる環境になればよいのだが。
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