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進まぬ保育所整備 自治体、人材確保に奔走

保育所の新設などによる定員増が計画を4千人下回ったのは、施設を新設する用地や保育士を思うように確保できなかったのが原因だ。各地の自治体は地域経済の活力を維持する目的で子育て世代の呼び込みに力を注いでおり、保育士を引き付けるための工夫を競っている。

世田谷区は定員を2082人増やす予定だったが、実際に増やせたのは1259人分。計画の6割しか達成できなかった。保育所を運営する事業者を公募したものの、引き受け手が事前に期待したほど集まらなかったためだ。子どもの声が気になるという周辺住民から同意を得られない例もあった。
(日本経済新聞 5月31日)

東京都の広報紙「広報 東京都」(6月1日付)の「働く」というコーナーには「福祉業界合同採用試験」「介護支援専門員実務研修受講試験」「看護復職支援研修」「保育の仕事『就職支援セミナー』」が掲載されている。掲載事項9つのうち、4つが福祉関連職に関する取り組みだ。行政も事業者も人材確保に必至である。

安倍晋三首相は消費増税の再延期を発表した1日の記者会見で、保育士と看護師の処遇改善について「アベノミクスの果実を含め財源を活用して、優先して実施する」と述べた。一億総活躍プランに保育士と介護士の処遇改善を盛り込む以上、予算措置を講じなければ自民党の支持基盤にも影響してくるが、この流れをつくったのは母親たちのデモである。

母親たちに行動を促した手段はSNSで、つまりSNSが権力をもったのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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