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今春の大卒就職率、過去最高の97・3%

今春卒業した大学生の就職率(4月1日時点)は97・3%だったことが20日、文部科学省と厚生労働省の調査で分かった。リーマン・ショック前の2008年(96・9%)を上回り、1996年の調査開始以来最高。文科省は「好景気で企業の求人が増えている」と分析している。

就職率は就職希望者のうち、実際に仕事に就いた人の割合。全国の国公私立大62校を抽出し、4770人を調べた。

今春の就職率は前年同期を0・6ポイント上回り、過去最低だった11年(91・0%)以降、5年連続で上昇した。就職希望率(74・0%)も前年から1・3ポイント増えて過去最高となった。就職環境が好転し、進学希望から就職に切り替えた学生も多かったとみられる。
(日本経済新聞 5月20日)

ニッポン一億総活躍プランには保育士と介護士の給与アップが盛り込まれるようだが、大卒の就職率がここまで高いと、福祉職への就職希望者はますます減ってしまうだろう。
地方の有力社会福祉法人理事は「新卒が欲しいんですが、応募がありません。中途採用をかけても、以前のように目的意識とか志をもった人が応募してこなくなりました」。
どんな応募者が多いのか。「あっちの介護施設、こっちの介護施設と転職を繰り返しているような人です。そういう人はうちに就職しても、すぐに辞めてしまいます。もっとも、うちの人事政策にも問題があるのかもしれませんが…」(同理事)。
いまや介護事業者も人材紹介会社に頼る時代になったが、紹介会社では介護職の登録数が枯渇して紹介候補者が激減しているという。この理事は「リーマン・ショック直後は他の業界が採用を閉めたので、介護にも人材が流れてきて採用には困りませんでした」。
ふたたびの経済危機を望んでいるわけではないだろうが、あの時代がなつかしく脳裏をよぎるようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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