2016/05/31
セブン&アイ・ホールディングスは26日の株主総会で退任する予定の鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO、83)が名誉顧問に就く人事を決めた。鈴木氏については名誉職を用意する方針で、肩書を巡って調整が続いていた。鈴木氏はセブン&アイを巨大流通グループに育て、依然、取引先や加盟店に対し強い求心力を持つ。その点への配慮もうかがえる。経営の第一線からは一定の距離を置くものの、存在感が残るかたちになる。
(中略)
社外取締役や井阪氏の対応を受け、鈴木氏は一時、名誉職を辞退し、セブン&アイから完全に去る方向で検討していた。ただ、社内だけでなく鈴木氏と長年付き合いのある取引先企業の経営者や全国に約1万8000店あるコンビニエンスストア「セブンイレブン」の加盟店オーナーから慰留する声が出た。
(日本経済新聞 5月25日)
鈴木氏の影響力を消せれば存在感は残ってもよいというのが会社側の最終判断だったのだろう。加盟店オーナーから慰留の声が出たというが、かりに鈴木氏が会社を離れたところで、高度にシステム化された店舗経営に影響が出るとは思えない。
だが、傍目には安泰でも、けっしてローソン、ファミリーマートとの格差を楽観できないほど、コンビニエンスストア経営は生き馬の目を抜くような苛烈な戦いなのだ。埼玉県でファミリーマートを5店舗経営するオーナーは、心境をこう語る。
「コンビニ経営は1日単位でPDCAサイクルを廻しているようなもので、息を抜けません。息を抜きたくなったら、それは引退のシグナルだと思います」。
セブンイレブンのオーナーたちが、肩書きがどうであれ、精神的な支柱として鈴木氏に残ってほしいと願うのは“戦場のプレーヤー”としては自然なことである。
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