2016/05/26
大阪労働局が主催した一風変わったこの企業説明会は「離職率が低い業界・企業研究会」。大阪の中堅・中小企業40社が集まり、平成29年春卒業の学生たちに就職を呼びかけた。
違法な過重労働やパワーハラスメントなどの労働問題を抱えるブラック企業とは一線を画し、労働環境改善に取り組む中小のホワイト企業の新卒採用を後押しする初の試みだ。
企業の参加資格は、直近3年度の新卒採用者の離職率10%未満▽週1回以上のノー残業デー実施▽前年度の平均残業時間が20時間以下-など、いずれかを満たすこととした。説明会では有給休暇や育児休暇の取りやすさ、繁忙期の残業の程度など、普通の就職活動では学生たちが聞きづらい実態を重点的に説明する企業担当者も多くみられた。(産経新聞 5月19日)
この取り組みはおもしろい。採用効果が出れば中小企業の採用活動に普及するかもしれない。「離職率が低い業界・企業研究会」というスポットの当て方は、やや後ろ向きに見えないこともないが、そもそも企業は、社員にとって好ましい場でなければならない。
中小企業で離職率の低い企業を取材すると、どこも経営者が社員の成長と生活設計に覚悟をもって雇用している。社員は経営者に尊敬の念をもって仕事に励み、販売先、仕入先に尽くすことに専念し、社員同士の関係も健全だ。
事業が地味でブランディングの難しい中小企業にとって、ホワイト企業ぶりをアピールすることは有効な手段である。その一方、中小企業で離職率が高いと、ますます採用が難しくなってゆくだろう。
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