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厚労省、違法残業の企業名を初めて公表 

厚生労働省千葉労働局は19日、最長で月約197時間の違法な時間外労働をさせていたとして、千葉市の棚卸し業務代行会社「エイジス」(ジャスダック上場)を是正指導したと発表した。同省は昨年5月、複数の事業所で違法な長時間労働をさせる企業について、是正指導をした上で社名を公表する方針を決定。今回が初のケースとなる。

同社はスーパーなどから棚卸し業務を受託する営業拠点を全国に50カ所持つ。昨年5月以降、営業拠点4カ所で働く従業員63人に、労使協定で定めた上限時間を上回る時間外労働や休日労働をさせていた。
エイジス単体の売上高は2016年3月期で179億円。従業員は3月末時点で255人。(日本経済新聞 5月20日)

たぶんエイジスの社員たちは、社名公表を遅きに失したと思っているかもしれない。
是正措置に対する同社の発表によると、すでに今年4月に斎藤昭生社長を委員長とする社内委員会を立ち上げ、労働時間管理、業務量平準化への取り組み、業務効率化の推進について重点的に取り組み、効果を検証するという。
エイジスの実態は知らないが、一般論として、違法な残業が改善されない企業に共通しているのは“物言えぬ企業風土”である。就労環境を正常化するには業務の仕組みを改善しただけでは不十分だ。仕組みを趣旨どおりに運用できるかどうかは、企業風土に大きく影響されるからで、そこにもメスを入れる必要がある。
当然、社長以下経営陣の価値観も修正を迫られるが、これまでの人生を否定されたような心境にもなる。なかなか受け入れられない経営陣も少なくないが、拒絶したがる心境は世代交代のシグナルである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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