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ベネッセHD、原田氏が退任 2期連続の最終赤字で引責か

ベネッセホールディングスは5月11日、原田泳幸代表取締役会長兼社長が6月25日付で退任する役員人事を発表した。同社は「進研ゼミ」の会員減に歯止めがかかっておらず、前期も最終赤字に。退任で経営責任を明確化するものとみられる。

後任には福原賢一副社長が昇格する。原田氏はベネッセコーポレーション社長も退く。

ベネッセHDが同日発表した2016年3月期の連結決算は、最終損益が82億円の赤字となり、前期に続き最終赤字に終わった。通信教育「進研ゼミ」の会員数が1年で約28万人減るなど歯止めがかかっていない。

原田氏はアップルコンピュータ(当時)、日本マクドナルドホールディングスのトップを経て2014年6月に就任。直後に大量の個人情報流出事件が起こるなど、通信教育事業の立て直しに向け難しい舵取りを迫られていた。
(ITmedia ビジネスオンライン 5月11日)

中国でのM&A失敗で最終赤字186億円を計上したLIXILグループでは社長の藤森義明氏が退任し、ベネッセホールディングス社長の原田泳幸氏とともにプロ経営者と注目された2人が相次いで躓いた。

だが、プロ経営者という職能が陰ったわけではなく、複数の業界で培った知見がプロパーの経営幹部には気づきにくい問題を発掘し、商機を掘り下げている例は少なくない国内最大手の住宅ローン専門金融機関アルヒ(旧SBIモーゲージ)社長の浜田宏氏も、そのひとりだ。浜田氏はデルコンピュータ日本法人立ち上げに参画し、のちに社長に就任し、その後リヴァンプ代表パートナー、HOYA社長を経てアルヒ社長に就任した。浜田氏に取材したとき、経営手法をこう教えてくれた。
「どの会社の場合も、最初から戦略を決めるという偉そうなことではなく、まず社員と飲んで、食べて、話を聞いて、私という人間をわかってもらって、心理の壁を低くしてもらいます。そのうえで、その会社が悪化していたら、どういう手順で直そうか。好調ならば、どのように成長を加速させようか。最初の3カ月は戦略などをつくらずに、手探りで、この業界、この会社の本質的な課題とチャンスは何だろうかと、そこにだけ集中して徹底的に考え抜きます」。

アルヒは浜田氏の発案で住宅ローン契約の前工程である家探し、さらに後工程であるガーデニング、セキュリティ、家事代行、育児支援、塾、お稽古ごと、介護支援、リノベーションなどにも事業領域を拡大する。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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