2016/05/11
そもそも同一労働同一賃金は、日本で浸透している賃金制度になじみにくいと経団連は考えている。同一労働同一賃金の実践に欠かせないのは仕事の内容に応じて賃金を決める「職務給」の仕組みだ。
これに対し日本では、賃金は職務を遂行する能力によって決まるという「職能給」の制度が根を張っている。
職能給のもとでは経験年数に応じて賃金が上がる。つまり職能給は、年功賃金制を支える仕組みだ。以前より賃金カーブは緩やかになったとはいえ、年功制はなお残る。そこに職務給にもとづく同一労働同一賃金を広げようとすれば、企業の現場が混乱するというのが経団連の考えだ。
(日本経済新聞 4月24日)
若くて勢いのあるときには同一労働同一賃金を望むが、所帯をもつと先々の生活コストを考えて年功制を望むようになる。この変化は自然だろう。
年功序列の是非について、2年前に取材した法政大学大学院教授の坂本光司氏はこんな視点を示してくれた。
「年功序列では頑張った社員が報われないのではないかという疑問があるかもしれないが、世の中は順番である。たとえば20代の時期は何もよい仕事ができなくても給料をもらっているが、自分が一人前になったら、その給料を稼いでくれた人たちにお返しをするのは世の中の順番だ。人生の順番である」。
これも同一労働同一賃金と同様に、平等主義のひとつである。
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