2016/04/27
上場会社で複数選任が求められるようになった社外取締役の供給源として弁護士への期待が高まる中、大手法律事務所の対応が煮え切らない。所属弁護士が特定企業の社外取締役に就くと競合他社と取引しにくくなる上、当該企業の大きな案件も受任しづらくなるためだ。就任要請に応えるか、本業重視を貫くか。大手事務所は悩ましい。
(中略)社外取締役になる弁護士は急増している。経営人材紹介のプロネット(東京・港)によると、東証1部上場企業の社外取締役3600人弱に占める弁護士の割合は15・1%(昨年7月時点)。上場会社役員出身者、金融機関出身者に注ぐ3位で、前年比2・5ポイント増と3者の中で唯一増勢だ。
(日本経済新聞 4月18日)
この記事の関連記事によると、米英の法律事務所では、利益相反を理由に上場企業の社会取締役就任を内規で禁止している例が多いそうだ。所内で情報を遮断する体制を設けても、利益相反取引に抵触しないことを立証するのは難しいのではないか。いずれ日本にも外圧がかかって、同様の動きが出てくるだろう。
一方、中堅・中小の事務所にとっては、社外取締役の供給源になることはブランディングのチャンスだ。
ただ、セブン&アイの社長人事案をめぐって、鈴木氏の提案を否決して流れを導いた社外取締役が大学教授と警察官僚OBであることから、社外取締役の適任者を必ずしも弁護士や上場企業役員経験者にシフトさせる必要はない。ビジネス経験がなくとも見識を示せる人は示せるものだ。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。