2016/03/08
政府は今年度、介護職員の給与を増やす仕組みを導入したが、実際に月給が増えた職員は、4人に1人にとどまっていることがわかった。
労働組合の全労連の調査によると、介護現場で働く職員のうち去年4月の時点で「月給が増えた」と答えた人は25.3%、「変わらない」が49.5%、「下がった」が6.0%だった。「月給は増えたがボーナスが減った」という人も4.7%いた。
政府は今年度、介護職員の給与を月1万2000円増やす目的で介護事業所の収入を増やしたが、介護事業所に支払う介護サービスの単価を引き下げたため、労働組合は「事業所の総収入が減ってしまい、人件費を削って赤字を埋めているとみられる」と説明している。
(日本テレビ系(NNN)2月26日)
昨年4月の介護報酬改定に設定された月1万2000円の介護職員処遇改善加算が、職員の給与に廻されずに、資金繰りに充当されることは、当初から懸念されていた。全労連の調査は懸念どおりの結果である。
介護報酬に紛れ込んでしまう加算よりも、交付金など“色のついた金”のほうが使途を特定できてよいという意見もあるが、交付金が創設されない年度があれば、デコボコが生じてしまう。
介護業界では安倍政権が打ち出した「介護離職ゼロ」について、「その前に介護職離職ゼロに取り組むべきではないか」(業界団体役員)という意見が多いという。もっともな意見だ。だが、社会保障財源を確保するには、消費増税が必須である。増税が延期されれば、介護離職ゼロも介護職離職ゼロも、スローガンで終わってしまう。
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