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認知症の人にも働く場を提供する時代に

認知症になると仕事を辞める人が多く、65歳未満で発症した場合の離職率は8~9割とされる。収入だけでなく、社会との接点も途絶えがちだ。この施設は認知症の人に働く場を提供しようと、NPO法人理事長の前田隆行さん(39)が開設。洗車のほか、青果問屋での野菜の皮むきなどの仕事があり、前田さんは「認知症の人ができることはたくさんある」と話す。

身近にいる誰かが認知症という時代はすぐそこに迫っている。厚生労働省によると、2025年には約700万人と推計され、65歳以上の5人に1人を占める。認知症の人を隔離せず、街の中へ――。そういう社会に変わらなければ、つらい思いをするのは患者ばかりではない。
(日本経済新聞 1月14日)

今年4月の診療報酬改定では、認知症対応に手厚く点数が配分されそうだ。認知症の人が約700万人に近づく過程で、認知症に対応できない医療機関は淘汰されてゆくとみてよい。「事務職もふくめて認知症サポーター研修を受ける必要があります」(医療コンサルタント)という指摘も、あながち大袈裟ではない。
地域社会のあり方も、認知症の人が普通の暮らせることが、健全な地域の要件として求められてくるのではないか。障害者雇用が当たり前になったように、認知症を持つ人への生活支援に、就労機会の提供も加わってゆくだろう。
企業の人事労務担当者にも、認知症サポーター研修の受講など認知症への対応力が求められる時期が目の前に迫っている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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