2016/01/21
政府は、働く女性らが妊娠や出産を理由に不利益を被るマタニティーハラスメント(マタハラ)の防止策を企業に義務付ける。就業規則で禁じたり、相談窓口の設置や社員研修の実施などを求めたりする。派遣社員も防止策の対象とし、違反した企業名の公表も盛り込む。今国会で関連法を改正し、2017年4月からの実施を目指す。
男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正案を今国会に提出する。対策の強化は、安倍政権が掲げる一億総活躍社会の実現に向けた政策の一環。働く女性が妊娠や出産をしやすい労働環境をつくり、出生率1・8の実現につなげたい考えだ。
(日本経済新聞 1月11日)
マタハラ防止を安倍政権の政策に位置づけるのは筋が違うだろう。政策がどうであれ、ハラスメント行為はすべからく防止すべきで、企業名を公表しない限り、この問題はいっこうに解決しない。
さらに加害者の処分も必須だ。たとえ実力者だろうと有望株だろうと、ハラスメント行為者にお目こぼしは禁物である。
そのためには社内の防止体制が健全に機能しなければならないが、ある大手機械メーカーの場合、社内の相談窓口が形骸化して、まともに機能していないという。学校のいじめ対応と同様に「なかったこと」にしたがり、結局はウヤムヤにしてしまうのだという。こういう組織では、下手に相談すれば、相談者は社内に波紋を起こす危険分子というレッテルも貼られかねず、相談窓口は体制を整備したという免罪符にすぎない。
ハラスメント防止は経営者がどこまで真剣に関与するか。これに尽きる。
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