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建設「職人」、産官で育成 五輪控え不足深刻

国土交通省は2017年度、建設業界の12団体と共同で建設技能訓練の指導官認定制度を導入する。業界団体の研修などで指導するようにし、一般に5年かかるといわれる建設技能者の育成期間を3年程度に短縮する。20年東京五輪を控え、現場の人手不足が深刻ななか、業界全体で建設人材を育成する体制を整える。

日本建設業連合会や全国建設業協会など12団体と共同で着手する。第1弾として左官で認定に着手し、とびや鉄筋、型枠を合わせた4職種について3年以内に整備する。

(中略)

災害対策や空港や主要道路網の整備などで、政府の公共事業関連費は増額が続いている。今後、20年五輪に向けたインフラ整備も本格化する。一方で建設現場の人手不足は深刻さを増している。
(日本経済新聞 12月26日)

国土交通省は、2016年3月に公表した「建設業を取り巻く情勢・変化 参考資料」で、2025年には生産性の上昇があったとしても77万人から99万人の労働者が足りなくなるという見通しを示した。昨年、労働力問題に詳しい首都大学東京の丹野清人氏にインタビューしたが、丹野氏によると、建設業界の人手不足は東京五輪後に本番を迎えそうだという。
「都市インフラの更新が増えていきます。高度経済成長期に全国各地に造られたビルや道路やガス・水道設備などが東京五輪前後から更新期に入るため、一気に工事が増える見通しにあります。この工事は人手でしか対応できません。したがって、現場の人手不足は続くでしょう」
業務の標準化やロボット化によって、人手不足を解消する手段は講じられないのだろうか。
「建設現場の作業は人に替わる手段がなく、マンパワーに頼らざるを得ないのです。各現場を定型化できる労働ではないので、例えばロボットでは対応できません。建設現場の作業は規格化できません。物件によって規模や耐震性、ITインフラなどさまざまな仕様が異なるため、現場作業は人手で対応するしかないのです。人手不足から逃れられません」(丹野氏)
外国人技能実習生の雇用でカバーする案も浮上しているが、それには限界がある。(参照:http://biz-journal.jp/2016/12/post_17373_3.html)

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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