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正社員の副業後押し 政府指針、働き方改革で容認に転換

政府は「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押しする。企業が就業規則を定める際に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」から副業・兼業禁止規定を年度内にもなくし「原則禁止」から「原則容認」に転換する。複数の企業に勤める場合の社会保険料や残業代などの指針もつくる。働く人の収入を増やし、新たな技能の習得も促す。

安倍晋三首相は副業や兼業について「普及は極めて重要だ」との認識を示している。少子高齢化による労働力不足を補い、職業能力の向上で成長産業への雇用の流動化を促すためだ。政府の働き方改革実現会議は年度末にまとめる実行計画に普及の方針を盛り込む。
(日本経済新聞 12月26日)

「二足のわらじ」という言葉があるように、副業は特別視するような働き方ではない。会社員が副業を始める動機の多くは収入増だが、スキルアップやキャリア開発が動機になる場合もあるだろう。

企業が就業規則に副業禁止規定を盛り込む理由は、ひとえに忠誠心を要求しているからだ。しかし、終身雇用を保障できない時代に忠誠心を求めたところで、社員は面従腹背となるだけである。一定のルールを設けて、どんどん解禁したほうが合理的である。

副業によって他社の価値体系を体験すれば、社内は“我が社の常識=社会の非常識”という視野狭窄に陥ることも予防できる。社員に対するガス抜き効果よりも、この予防効果のほうが大きいのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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