2015/12/18
ワタミグループの居酒屋「和民」に勤めていた娘を過労自殺で失った遺族が、ワタミや当時代表取締役だった渡辺美樹参院議員(自民党)らに損害賠償を求めた裁判が8日、東京地裁で和解した。ワタミや渡辺氏らは法的責任を認め、連帯して1億3千万円超を支払う。
遺族は、渡辺氏の経営理念が過酷な長時間労働を強いるワタミの体制をつくったとして、会社だけでなく渡辺氏個人にも責任があると主張。渡辺氏は当初「道義的責任はあるが、法的責任はない」と争う姿勢を示していたが、最終的に責任を認めた。この日、遺族らが会見して明らかにした。この事件もきっかけとなり、ワタミは「ブラック企業」として強い批判を浴びた。渡辺氏は朝日新聞の取材に「ブラック企業ではない」と反論していた。
(朝日新聞デジタル 12月8日)
「道義的責任はあるが、法的責任はない」という釈明は政治家もよく口にするが、いかにも保身に汲々している。責任があることに変わりはないのだから、サッサと責任を取ればよい。
ワタミ側は最初から素直に謝罪しておけばよかった。危機管理の成否を左右する初期対応に失敗したのだ。裁判に持ち込まれたこと自体、ワタミの失点である。
渡辺美樹氏はみずから作成した理念に問題があったことを認めているが、これは多くの企業に示唆を与えている。理念とは言い換えれば“会社の論理”であり、必ずしも社会の論理に適合しているとは限らない。
暴走の芽を宿していることも少なくなく、必要に応じて見直すことである。
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