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15年賃上げ額5282円、99年以降で最大――厚労省調べ

厚生労働省が3日発表した2015年の賃金引き上げ実態調査によると、定期昇給やベースアップ(ベア)による社員1人当たりの平均賃金引き上げ額(月額)は、前年比28円増の5282円だった。15年春闘で賃上げの動きが広がったことから、引き上げ額は比較可能な1999年以降で最大で、増加は4年連続となった。

15年中に平均賃金を引き上げた企業の割合は1.8ポイント増の85.4%だったのに対し、引き下げたところは0.9ポイント減の1.2%にとどまった。また、定期昇給制度のある企業のうち、管理職を除く一般職でベアを実施したところは0.2ポイント増の25.0%だった。
産業別でみると、引き上げ額が最も大きいのは金融・保険業(7603円)。2年連続で7000円を超えた建設業(7370円)や、不動産・物品賃貸業(6381円)が続いた。
(時事通信  12月3日)

来春も政府の要請で賃上げラッシュとなるだろうが、賃上げ余力のない中小企業にとっては逆風だ。またしても無理な賃上げによる人件費倒産が引き起こされるのではないだろうか。しかも、食品の値上げなどで、懐が温かくなったという生活実感をどれだけの人が得られるのか。2017年4月には消費税が10%に引き上げられ、消費控えが進むことは目に見えている。

骨太の方針では「経済成長なくして財政再建なし」という方針が示されたが、消費増税は経済成長の足かせとなる。社会保障財源を確保するには、北欧並みに消費税を20%にまで引き上げるべきだという議論もあるようだが、現実的ではない。それこそ“一億総倹約社会”になってしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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