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地方に必要なのは「雇用よりも労働力不足」

大量の人員を抱える復興関連の土木事業が一段落すれば、労働力が様々な業種に向かうという見方もある。しかし、人材が都市部に流出せず、被災地にとどまるという保証はない。深刻な人手不足が常態化し、それが原因で事業継続断念の動きが広がる恐れがある。

雇用創出は長らく地域経済浮揚の核となる施策であり続けた。国や自治体には地場企業育成や企業誘致を促す数多くの補助金メニューがある。しかし、少子高齢化や人口流出で労働力人口が減るところでは、その効用は怪しくなる。
(日本経済新聞 11月16日)

若者を地方に移住させるハードルは、雇用の受け皿がないことだった。だが、いまや被災地に限らず、地方でも人手不足が深刻化している。少子化と人口流出をどう食い止めるか。
複数の大手企業の事業所があり、雇用機会の豊富な石川県能美市では、18歳までの医療費無償化などが奏功して、若年層の流入が増えているという。住みやすい街なのだ。

地方での人手不足がさらに深刻化すれば、多くの自治体で労働力の争奪戦が勃発するだろうが、そうなれば元気高齢者の移住促進には手が回るまい。元気高齢者の地方移住は、日本創成会議が都心での介護施設不足を理由に、老後を地方で過ごすシナリオを提言したことで一部の自治体が動き出したが、自治体が来てほしいのは現役世代である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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