Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

非正社員、初の4割 人件費抑制が背景

厚生労働省が4日発表した2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で、パートや派遣などの非正社員が労働者にしめる割合が初めて4割に達した。高齢世代が定年を迎えて正社員が減るなか、人件費を抑えたい企業が非正社員で労働力を補っている実態が浮き彫りになった。

調査は1987年から複数年ごとに行っている。今回は昨年10月1日時点。官公営を含む従業員5人以上の事業所約1万7千カ所と、そこで働く労働者約5万3千人にたずねた。回答率は事業所が64・4%、労働者が65・2%だった。

非正社員の割合は40・0%。民間のみの調査だった前回は38・7%。非正社員の約6割をパートが占め、次いで契約社員や定年後再雇用などの嘱託社員が多い。
(朝日新聞 11月5日)

非正社員が占める割合は、年々増加する傾向にある。2007~2010年の景気後退局面ではその増加率が落ちたこともあったが、2011年以降は再び増加率が高くなってきた。景気回復局面では、まず、非正社員の雇用から増加し、その後に正社員の雇用増に波及することが多いため、当然の現象が起きているともいえる。

ただ、足元では、人手を安定的に確保するため、非正社員を正社員として雇用する企業も多くなってきた。人件費抑制よりも人材確保を優先する動きだ。今後、景気回復から景気拡大へ向かえば、人手不足はより深刻となり、この傾向は加速されるだろう。

今後は、非正社員の割合の増加だけでなく、正社員の就労形態の多様化も進むことになる。パートタイムの非正社員をパートタイムのまま正社員として採用する例も珍しくなくなった。従業員と企業のニーズをよりよくマッチングさせ、一億総活躍社会を実現するには、正社員の働き方にも柔軟性を持たせることが重要だ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。