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西松屋チェーン、100人中途採用 シャープ退職者に的

専門店の西松屋チェーンは2016年2月期、シャープの希望退職者など技術者を中心に100人程度を中途採用する。採用数は前期比6倍で過去最多になる見通しだ。パナソニックやソニーの出身者も積極採用する方針で、ベビーカーやチャイルドシートの独自商品の開発力を高める。

採用した技術者は低価格のプライベートブランド(PB=自主企画)商品の開発を担当してもらう。語学力のある人材や海外駐在経験者は、原材料の調達部門などにか位置する。
(日本経済新聞 10月24日)

異業種への移籍に付きものなのが「この業界で通用するのか?」という偏狭な見方だが、西松屋チェーンはそうではない。水準以上のビジネススキルはどの業界でも通用するものだ。

たとえば民間病院の事務長には、意外に異業種出身者が少なくない。全国一律のサービス内容と報酬単価で運営される医療機関の経営は制度ビジネスである。市場ニーズよりも行政ニーズが優先され、制度が何を求めているかをどれだけ深く読み取れるかで、診療報酬の算定が左右されるのだ。

たとえ制度が市場の実態とズレていても、制度への従属が優先されるため、職員の思考方法にもイノベーションが入り込む余地は生まれにくい。民間企業出身者にとってはさぞかし窮屈な業界だろうと思うのだが、前職で活躍した人は病院に転じても活躍し、事務長に昇格してリーダーシップを発揮している。

シャープ出身者に西松チェーンが期待するのは、異業種との融合によるイノベーションではないのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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