2015/09/20
就職活動で首都圏の自治体の人気に陰りが出てきた。2016年春卒業予定の学生を対象に今夏までに実施した15年度の採用試験で、東京都や神奈川県、埼玉県は一般行政職の合格倍率が14年度を下回った。景気回復で採用を増やす民間企業に学生が流れ、自治体受験者が減少。人材を確保するため異例の追加募集に踏み切ったり、16年度に向けて対策を検討したりする自治体もある。
受験者数を合格者数で割った合格倍率は東京都の一般行政職の場合、大卒程度の区分で14年度比1・3ポイント低下の5・4倍だった。受験者が5%減だったのが響いた。東京五輪などを見据えて人材を確保するため、合格者を18%増にしたことも倍率を押し下げる要因になった。
(日本経済新聞 9月8日)
あと10年も経てば地方で最大の雇用数にランクされる事業者は、おそらく医療・介護事業者になるだろう。医療・介護は市場原理とは異なる制度ビジネスだが、それを統括するのが自治体の保健福祉部門である。街づくりも医療・介護が中心にすえられることになるから、自治体職員はおもしろい立ち位置を占めることができる。
こうした構図を学生にどれだけ訴求できるか。財政が厳しくともリストラされないのが公務員の魅力だが、それに勝る魅力は何か。地方分権が進む中で抜てき人事や、自治体初ベンチャーの創出など市場原理を自治体経営に導入しないと、就職人気を回復するには不況を待たなければならないという状況がつづきかねない。
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