政府は企業の地方移転を促す税制で、2016年度から賃上げした企業への優遇を拡充することを検討する。地方での雇用を増やして受ける税優遇に加えて、賃金を上げた場合の優遇措置も同時に受けられるようにする。利点を多くすることで、地方移転を増やし、政府が掲げる地方創生につなげる。
年末に与党がまとめる税制改正大綱に盛り込むことを目指す。15年度に始まった「地方拠点強化税制」は、東京23区から本社機能などの一部を地方に移した場合に利用できる。
現行制度は投資減税として地方での事業所の取得額などの7%を法人税額から控除できる。さらに「雇用促進税制」として雇用者が増えると1人あたり最大50万円を税額から差し引ける。
(日本経済新聞 9月3日)
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企業の地方移転は地方創生にはメリットだろうが、企業にとってはどうだろか。営業部門のウエイトの高い企業には、商機の損失が生じかねない。
地方にとっても企業誘致の成功は、必ずしも手放しで喜べることではない。大手企業の工場が移転してくれば、数百人単位の雇用を見込める場合もあるが、その企業が経営悪化やアジアへの生産拠点移転などで工場を閉鎖すると、数百人単位の失業者が発生する。しかも、近隣の商店やサービス事業者が閉業に追い込まれてしまう。
企業誘致は諸刃の剣である。輸出型と輸入型、あるいは製造業、流通業、サービス業など誘致企業のポートフォリオを作成し、リスクヘッジを図ることが望ましいのではないか。
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