「・・・会社も大きくなって『育成するには時間がかかる。外には優秀な人もいるだろうから、そういう人を入れれば楽になる』と思った。で、そういう人を入れだした。灘校→東大→ハーバード大みたいなエリート人材だ。小さい頃、お金持ちが高級ホテルで食べるフランス料理、さぞおいしいだろうなとうらやましかっただろう。あれと同じだ」
「結論をいうと錯覚だった。そういう経歴の人が経営がうまいとは限らない。外資に3年いたとか、それだけでは難しい。やらせてみたら『これだったら自分が育てた生え抜きのほうが上だ』と最近わかった。10年かかってようやくだ。それでもう一回経営塾を始めて育成にエネルギーを使おうと考えた。時間はかかるが仕方がない。世の中、そんなに人材はいないよ」
(日本経済新聞 8月30日)
以上は「カリスマ経営者、後継者の条件は」と題する日本電産の永守重信会長兼社長へのインタビューである。プロ経営者ブームに火が付きそうな前兆もあったが、ナリを潜めているのは、やはり永守氏が指摘するように、人材が不足している故かもしれない。
外資系企業の社長職を数年おきに渡り歩く人材は、定義にもよるが、プロ経営者と呼ぶには役不足だ。業績をV字回復させたのち、事業規模や利益を数倍に拡大させるような人材こそ、プロ経営者と呼ぶにふさわしい。
だが、そんな人材が滅多にいないことを多くの経営者はわかっているから、自分の名前を冠にした「○○塾」を開き、幹部育成に力を注いでいるのだ。その企業にとって最高のビジネススクールは、社長が主宰する「○○塾」である。
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