ファミリーレストラン最大手のすかいらーくは10月から、全従業員の実質的な定年を現在の60歳から65歳に引き上げる方針を固めた。正社員や契約社員のほか、パート・アルバイトを含めた8万人超が対象。60歳以降も継続して働きたい人には給与などの待遇を維持する。外食産業全体で人手不足が深刻になるなか、接客や調理などのノウハウを持つシニア層を囲い込み、今後の出店拡大につなげる。
すでに組合側と大筋で合意しており、9月に正式決定する。これまで60歳に達した社員らは希望に応じて再雇用していたが、一年ごとの契約となり、賃金水準も下がるなど待遇の変化が大きかった。定年を延長すると同時に、65歳以降は70歳まで再雇用制度で働けるようにする。(日本経済新聞 8月18日)
変形労働時間制の導入や定年延長の普及によって、業務と従業員のライフスタイルとの両立を雇用制度が求められるようになった。人手不足が直接の理由だが、雇用観や就労観は大きく変化してゆく。
まして社会保障費の抑制策を受けて、年金支給年齢の延長や医療費・介護費の自己負担が増える見通しにあることから、体が動くうちは働くことが当然になってゆく。財務省によると、一人暮らし高齢者の33%が1500万円以上の貯蓄を持つが、26%は300万円未満だという。
企業にとっては人手不足解消、国にとっては健康増進による医療費抑制、本人にとっては収入とやりがいの確保。定年延長にはこうしたメリットがあるが、高齢の役員が居すわって、さらに名誉職に就いてコストを発生させることは改めなければなるまい。
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