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リクルート、全社員対象の在宅勤務制を導入 

リクルートホールディングスは10月から、在宅での勤務を日数の制限なく、約400人の全社員がだれでも選べる仕組みを導入する。管理職も可能で、育児や介護などの特別な理由がなくてもいい。柔軟な働き方を認め、多様な人材に働きやすい環境を整える。
在宅勤務の導入は日本でも広がりつつあるが、日数制限がなく、全社員を対象とする制度は、先進的と言えそうだ。
リクルートでは、在宅勤務を選んだ場合、会議など出勤が必要な場合を除いて、原則的に自宅など好きな場所で仕事ができる。社内の連絡は電話やメール、テレビ会議などで行い、1日に1回は仕事の状況を上司に報告する。
(朝日新聞デジタル 8月12日)

在宅勤務制を導入すれば通勤手当と残業手当を大幅にカットできるうえに、子育てや家族の介護との両立も可能だ。とくに年々増加している介護離職を阻止する手段として、在宅勤務は有効に違いない。
さらにいえば、出勤という時間拘束から解放されれば、毎日の動き方はフリーランサーと変わらず、副業も自在にできる。勤め人のあり方そのものが変化し、自営業者に近づくだろう。
25年くらい前にさかのぼるが、公認会計士の安部忠氏が“サラリーマン法人化”を提唱した。社員が自宅を事務所に法人を設立し、勤務先との関係と雇用契約から業務委託契約に切り替え、5年程度の契約を結ぶ。
さらに自営業者ゆえ競合先を除けば取引先を拡大でき、家族に業務を手伝ってもらえば、人件費や業務委託費として経費計上ができる。決算賞与などの余禄には与れないし、ベースアップの恩恵も受けられないが、独立と安定を両立させる仕組みだ。
安部氏が提唱した当時はさほどの話題を呼ばず、導入例があったのかどうか。いつのまにか埋もれてしまったスキームだが、在宅勤務制の普及とともに復活すればおもしろい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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