厚生労働省によると、2015年3月時点で要支援・要介護認定を受けた人は606万人と前年同月比に比べ22万人増えた。600万人超えは、年度末ベースでは初めて。国民のほぼ20人に1人にあたる。
(中略)
公的な介護サービスを十分に受けられなければ、家族がしわ寄せを受ける。厚労省の雇用動向調査によると、家族の介護のために仕事を離れた人は13年に9・3万人と、前年から41%増えた。5年前の2倍だ。うち4分の3が女性で40代後半~50代が多い。みずほ総合研究所の大嶋寧子主任研究員は「介護離職者は今後も増え、経済成長の足かせになる」という。(日本経済新聞 8月9日)
介護離職者の増加を食い止めるには、それぞれの職場で介護休業制度を柔軟に取得できる体制整備が急務で、厚生労働省による制度設計を待たずに、現場主導で模索が進んでゆくだろう。
要介護認定者の増加は介護職不足にますます拍車をかけるが、介護職と同様に人手不足が深刻な問題になっている看護師に、介護離職が増えているという。いわば医療・介護を提供する側が、提供を受ける側へと立場を移行させられているのだ。
一方で、2020年度のプライマリーバランス黒字化政策を受け、社会保障費抑制策の実行は急務となった。医療介護総合確保推進法にも明記された地域包括ケアシステムの構築は急ピッチで進み、“病院から地域へ”の方針にしたがって訪問診療や訪問看護、訪問介護など訪問系サービスが政策的に拡充される方針だが、在宅療養は家族のケアが必須要件である。
地域包括ケアシステムの推進が介護離職者を増加させるという隘路に突き当たってしまったのだ。
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