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教科書の「介護は低賃金重労働」、修正要望-関連6団体が出版社に

全国老人福祉施設協議会(全国老施協)や全国老人保健施設協会(全老健)などの介護関連の6団体は、中学生や高校生の教科書を作成する出版社2社に、教科書の表現の修正を求める要望書を提出した。介護について「重労働で低賃金」としている記載などの修正を求めている。
要望を提出したのは、全国老施協や全老健、日本慢性期医療協会、日本介護福祉士会、日本認知症グループホーム協会、全国社会福祉法人経営者協議会の6団体。
修正が求められているのは、中学生向けに作成された教育出版の「公民 ともに生きる」と、高校生向けに作成された実教出版の「最新現代社会」。要望書では、「公民」や「現代社会」の本文中や写真説明の中に「介護の仕事が重労働で低賃金」などと記載されている点を問題視し、「介護・福祉の否定的なイメージのみを捉え、職業としての魅力や社会的評価を否定するような記述」としている。その上で2社に対し、中学生や高校生が誤った認識によって職業選択の自由を奪われることがないよう、適切で建設的な記載表現の徹底を図るよう求めている。
(医療介護CBニュース 7月13日)

たしかに介護施設の就労環境は重労働で低賃金だが、教科書に紹介するのならプラス要素とマイナス要素の両面を記載しないとバランスがとれない。
慢性的な人手不足の解消策を見出せず、しかも介護職の専門学校の定員割れが発生している現状で、中学生向けの教科書で「重労働で低賃金」などと紹介されたら、ますます成り手が不足してしまう。介護業界団体が反発するのも無理はない。傷口に塩を擦り込まれたような心境になったのではないか。
もちろん業界にとっての不都合な真実を伏せ、美辞麗句を並べる情報操作は論外だが、低賃金解消に向けて業界が努力を重ねている事実も。記載することが望ましいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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