東芝の不適切な会計処理を巡る問題で、営業利益のかさ上げが判明した期間中に社長を務めていた佐々木則夫副会長が取締役を退任する方向で最終調整していることが9日分かった。5月に設置された第三者委員会が不適切処理の詳細や歴代経営陣の責任を調べており、7月中旬をめどに報告書をまとめる予定。これを踏まえ、東芝は田中久雄社長の進退も含めて経営責任の明確化を検討する。
これまで東芝は、インフラ関連工事を中心に21件の不適切な会計処理があり、2014年3月期までの5年間で営業利益が累計548億円かさ上げされていたと説明。第三者委は半導体、パソコン、テレビの主要3事業でも不適切処理があったと見て実態解明を進めており、利益かさ上げ額は2000億円規模に膨らむ可能性がある。
(毎日新聞 7月9日)
この問題は経営トップ数名の退任で幕引きが行なわれるのか、刑事事件にまで進展するのかは調査が終了するまでわからない。
不適切な会計処理を実行した部門の責任者たちは、たぶん互いに示し合わせたうえで「皆で渡れば怖くない」という心理で一線を超えたのだろうが、不適切処理の発覚にまで思考が至らなかった。
この種の行為は二度、三度と繰り返すうちに不適切な行為が適切な行為へと転化してしまい、いつしか違和感をもたなくなってしまう。善悪の感覚が麻痺してしまうのである。形ばかりの再発防止策やコンプライアンス教育を施しても、不適切の芽を根絶はできない。
いま実態解明を進めている第三者委員会を平時から機能させない限り、不適切の芽は何かの弾みで吹き出すものだ。
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