来春卒業する大学生らの就職活動が学生有利の「売り手市場」で進む中、企業が内定や内々定を出した学生に、活動を終えるよう働きかけを強めている。一部では過剰な行為が「終われハラスメント(オワハラ)」などと呼ばれて問題化するケースも。学生の自由選択を妨げれば違法行為となるおそれもあり、文部科学省は今年度、初の実態調査に乗り出す方針だ。
「約束と違うじゃないか!!」。都内の私大に通う男子学生は4月、シンクタンクの人事担当者から電話で怒声を浴びた。「就活を終えること」を条件に内々定を得たが、就活を続けていることを明かしたとたん、約2時間電話口で説教され、結局内々定を取り消されてしまった。
(日本経済新聞 5月9日)
採用数の目標数字を負わされた人事担当者にとっては、内々定や内定を出した学生が他社にもアプローチするのは裏切り行為に他ならず、罵声のひとつでも浴びせたくなるだろう。人事担当者に長時間にわたって説教されたとか、土下座させられたとか、人担当者によるオワハラは就職活動の風物詩のように、昔から散見された。
しかし、事情が何であれ、ハラスメントは“やった者負け”である。売り手市場や訪問活動解禁の後ろ倒しなど人事担当者が追い詰められる状況は、ハラスメントになんの正当性も与えない。
高野友梨氏がスタッフを追い詰める会話が録音され、ネットで公開されたが、人事担当者も、自分の発言が録音されているリスクを認識したほうがよい。文部科学省に期待したいのは、オワハラ企業の実名公表だ。
一方、学生もやられっ放しでは情けない。どんな業界にも、自分よりも立場の弱い者へのハラスメントが横行しているのだから、人事担当者には毅然と対処してほしいものだ。
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