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引き抜いた外国人CFOが引き抜かれ――武田薬品

武田薬品工業は24日、フランソワ・ロジェ最高財務責任者(CFO)が26日付で退任すると発表した。食品大手のネスレ(スイス)の次期CFOに引き抜かれた。武田はここ数年、国内外から優秀な人材を積極的に引き抜き、登用する「人事のグローバル化」を進めてきたが、武田自身も集めた人材を他社に引き抜かれる課題に直面している。

ロジェ氏はフランス人。欧州の製薬や食品、通信会社の財務責任者などを経て2013年9月、当時の長谷川閑史(やすちか)社長(現会長)の求めで武田初のCFOとして入った。昨年6月、武田初の外国人社長に就いたクリストフ・ウェバー社長が経営強化のために結成した外国人中心の「直属幹部チーム」の一員でもあった。
(朝日新聞デジタル 6月25日)

日本企業が外国人を続々と最高幹部に起用すれば、武田薬品工業のような例は珍しくなくなるのだろう。かりに日本的な信義を説いたところで、グローバル企業を渡り歩く人材はメンタリティーが違うのだから無意味である。

さらに言えば、これは日本人でも同様だが、金で引き抜いた人材は金で引き抜かれるという法則がある。職場選択の基準が金なのだから、やむをえない。

彼らは三顧の礼で迎えられても、企業価値の向上ではなく自分価値の向上のみに専念することになんら違和感をもたず、より高い報酬を提示されれば、さっさと移ってゆく。グローバル人事は日本企業に、引き抜きリスクという新たな難題を突きつけている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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