厚生労働省は15日、労働環境が劣悪な「ブラック企業」のうち、違法残業が複数の事業所で行われている大企業について、書類送検される前でも企業名を公表すると発表した。早期の是正を促すためで、18日に全国の労働局長を対象に臨時会議を開き、対策を指示する。
従来は是正勧告に従わず書類送検した場合に企業名を公表していたが、大企業にはこうしたケースは少なかった。塩崎恭久厚労相は15日の閣議後記者会見で「名前を公表される企業の行動は今までと違ってくるはずだ」と強調した。
(時事通信 5月15日)
ブラック企業と名指しされた企業は、おそらく税務処理で修正申告を命じられた企業と同様の見解を発表するのではないか。つまり「見解の相違があり、納得しかねる部分もあるが、当局の勧告に従う」。
いまもなお「ブラック企業でなければ成長できない」「ブラック企業を批判するのは経営の厳しさを知らないからだ」などと居直る経営者は少なくないが、社名が公表されれば採用に支障をきたす。実害が発生しない限り、ブラック企業は態度を改めないだろうから、実名公表を契機に、社長や労務管理担当役員の責任を問う仕掛けも必要だ。
さらにパワハラ、セクハラ、マタハラ、オワハラなどハラスメントが横行する企業名も公表したほうがよい。ハラスメントは経営環境や組織風土よりも、多くの場合、加害者個人の人格に由来するものだ。人権問題を引き起こした者には相応の処罰を加えなければ、健全な企業とはいえない。
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