三井住友信託銀行は5日、相続・贈与や不動産などの知識を持つ専門職の財務コンサルタントについて、現行65歳までの再雇用期間を原則70歳まで延長することを明らかにした。成果に応じた給与を最長70歳まで支給する「フェロー制度」として、今夏に運用を始める。原則70歳までの再雇用は大手銀で初めて。
銀行業界では、役員にならずに55歳を過ぎると年収が自動的に7割程度に下がる給与体系が定着している。バブル期前後に大量入行した行員の離職期に備え、ベテラン層の活用が共通の課題となっている。
三井住友信託は昨年秋、約200人の財務コンサルタントを対象に、経験が豊富で高度な専門性を持つ職員を「フェロー」に認定する制度を導入。実績を残した職員には55歳以降も成果に応じた賞与を支払い、年収を下げない仕組みとした。今夏の賞与から適用を開始する。(時事通信 3月5日)
この取り組みは、再雇用年齢を70歳に引き上げる機運に火を点けるだろう。60代の経営者や会社員に尋ねると、だれもが「70歳までは働きたい」と口をそろえる。そのひとりは「65歳を過ぎてからも働いている人は若々しいし、65歳で完全リタイアすると急速に老け込むんだよね」と話した。
現役の延長は年金だけでは生活設計がおぼつかないという事情もあるのだろうが、それ以前に“老化の先送り”という心理もはたらいているようだ。三井住友銀行に続けと70歳まで再雇用する企業が増えると、次は75歳まで進むのだろうか。
日本人男性の健康寿命は70歳そここそだから、これが長野県民の男性並みに79歳まで延伸されれば社会保障費は大助かりだ。再雇用年齢の延長による健康増進によって、社会保障財源の破綻が水際で食い止められる――まるで予定調和のような現象が都合よく発生することはないだろうが、どこかで調整機能がはたらく気がしないでもない。
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