日本の年代別の人口構成を見ると、大きな“こぶ”は今2つある。バブル世代など40歳代のミドル層と、60歳代のシニア層だ。定年延長が進むなか、シニアを抱えるコストをどう捻出するか。どんな仕事を割り振るか。企業は対応を迫られている。
私鉄大手・京阪電気鉄道の研修施設。「安全とは何か」。59歳のベテラン鉄道マン・角田謙二さんは研修課長として若い乗務員に安全意識の大切さを教育する。「自分の体験を伝える」と60歳を過ぎても働く考えだ。
同社は2013年、定年を段階的に65歳まで延長する一方、45~55歳のミドル層の賃金上昇を抑える制度を導入した。シニア雇用でかさむ人件費を働き盛り世代の負担で賄う。問題は仕事の確保だ。年70~80人のシニアが増え、数年後には「仕事が不足する」という。(日本経済新聞 1月4日)
定年延長によって60歳以上の社員の仕事を確保できなくなるかもしれない。この不安は理解できるが、多くの企業が定年を延長したのは、そもそも人手不足を補うためではないのか。人手が余るのなら定年を元に戻せばよい。
シニア層が職場にスムーズに適応できるかどうかはともかく、定年を70歳まで続々と延長して人手不足に苦闘しているのが介護業界だ。高齢化のピークを迎える2025年から2040年ごろまでは介護需要が減少しないが、人手不足を解消する手段が見えていない。体力を消耗する職場だが、人生経験で培われたシニア層のコミュニケーションスキルは大きな戦力となる。
女性シニア層には介護現場で活躍する例が多いが、男性はデイサービスの送迎を除けばまだ少ない。介護業界はシニア層の雇用に向け、大々的にアプローチをはじめたらよいと思う。
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