「起業」の経験をもつ学生の争奪戦が熱を帯びている。16日には学生と企業をつなぐイベントが都内で開かれ、ヤフーやディー・エヌ・エー(DeNA)などIT(情報技術)系7社が参加した。一括・大量という従来の採用手法では難しい「とがった」人材を確保するだけでなく、有望事業の取り込み策と位置づける。学生側も起業を「就活術」ととらえている側面があるようだ。
「第1回選択希望人材!」。16日、品川プリンスホテル(東京・港)で開かれた「ITドラフト会議」はプロ野球さながらだった。企業の人事担当者が、自社の「指名」を公表していく。他社と重複した場合はその場でくじ引きだ。
指名された学生には採用面接の優先権やインターンシップへの参加権、起業を支援してもらえる権利などが与えられる。(日本経済新聞 12月17日)
この取り組みは一種のエンジェル活動である。起業する学生は会社の知名度よりも資金調達など経営資源の活用を優先的に考えるはずだから、採用に苦闘する中小・ベンチャー企業がこの取り組みに積極的に臨んだらよい。起業を断念して就職への切り替えを考える学生にとっても当面の食い扶持を確保できるうえに、経営支援も受けられる利点がある。
当然、一定期間内に事業が軌道に乗らなければ一兵卒に転身するか、退職するかなどの選択に迫られるのだろうが、それは当初から考えるべきことではない。むしろ軌道に乗って相応の業績を見込めるようになった時点で、雇用主との間に、経営方針や役員人事をめぐる葛藤が生じかねないことを念頭に置いてほしいものだ。
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