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ベネッセ、初の希望退職募集を実施

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ベネッセホールディングス(HD)の希望退職募集は創業以来、「ぬるま湯体質」と指摘される同社が初めて振るう「大なた」だ。顧客情報の流出問題で前社長ら経営陣の多くが引責辞任したことで、流出問題は就任前の問題であり自身に責任はないとして留任した原田泳幸会長兼社長に権限が集中し、可能になった。
「今回の構造改革では、社員には大きな意識改革、業務領域の変更が求められます」。希望退職の発表文に記されたこの言葉は、原田氏が社員に突きつけた覚悟ともいえる。
原田氏はベネッセ会長就任直後、「商売を上手にするという意識が足りない」と、社風を痛烈に批判。IT化やネット活用の教育システムなどにうまく移行できないことや、会員数の減少に手をこまねいてきたビジネス感覚の欠如を挙げた。
同氏は日本マクドナルドHDのトップなどの経験からリストラを伴う大規模な事業改革の必要性を感じながらも、急進的な改革がベネッセ社員に受け入れられないことも理解していた。その中で発覚した流出問題と初の赤字転落が、原田改革にお墨付きを与えた格好だ。(SankeiBiz 12月2日)

希望退職の募集人数は300人だから、1人の不祥事が300人の生活設計を狂わしてしまう結果となったのだ。なんとも不条理である。

ベネッセがぬるま湯体質なのかどうかは分からない。ただ原田泳幸氏をトップに招聘した時点で、人員削減などの荒療治は既定の路線だったのだろう。おそらく社員も一定の覚悟をしていたのではないか。

原田氏はベネッセの組織風土を変革しようとしているのだろうが、リストラを実施すれば士気は急速に低下する。リストラ流行りの時勢とはいえ、会社への求心力はダウンする。それを十二分に承知の上で行なうのがリストラだが、こうしたニュースが出るたびに、会社にとって何が真に大切なのかをつくづく考えさせられるものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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